宝石買取店が解説|茶色の宝石11種類まとめ

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ダイヤモンド

土や樹皮など、茶色(ブラウン)は人々の身の回りにありふれた色のひとつです。

さまざまなカラーや輝きをもつ宝石の中で、茶色系といえばどのようなものが思い付くでしょう。今回は、ブラウンカラーの宝石を一堂に集めて紹介します。

茶色の持つイメージについても解説するので、色と宝石に興味のある方はぜひご覧ください。

茶色のイメージや与える印象

そもそも煎茶や抹茶など、一般的な飲むお茶は緑色をしています。それにも関わらず、英語でいうところのブラウン(brown)を茶色と呼ぶのは、ひとつには茶染めの色に端を発しているからとされています。

茶染めの発色成分はお茶の苦みのもとであるカテキンやタンニンで、湯飲みの底などにつく茶渋も、いわゆる茶色をしています。

もうひとつは、古い時代のお茶は今日のほうじ茶や番茶のように炒って作られていたためというものです。茶葉を蒸してから揉む緑茶の製法が確立したのは、江戸時代に入ってからとされています。

色の定義としては、一言で言えば茶色は橙(オレンジ)と黒の中間色です。温和で重厚な印象を与え、安定感や堅実性、伝統的といったイメージがあるとされています。一方で、ファッションのうえでは地味で退屈といったマイナスのインプレッションに繋がることもあり、身に着けるには高度なセンスが求められる色ともいえるでしょう。

茶色の宝石.1「アンバー(琥珀)」

琥珀(こはく)は、人類が歴史上最も古くから手にしていた宝石のひとつです。

ヨーロッパでは、約1,500万年前にはすでに装身具やお守りとして使われていたとされ、日本でも旧石器時代の遺跡から加工された琥珀の玉が見つかっています。

琥珀の字は、中国では虎が死んでその精魂が地に染み込んで石になったものと信じられていたことに由来します。英語のアンバー(amber)は、アラビア語が語源。元々はマッコウクジラの結石である香料の一種「龍涎香(りゅうぜんこう)」を指す言葉でしたが、どちらも浜辺で見つかることが多いことから、ヨーロッパでは誤って使われるようになったといわれています。

琥珀は鉱物ではなく、樹木の分泌液が地中に埋もれ、長い年月をかけて化石化したものです。茶色から明るいイエローまで色の幅が広く、ジュエリー素材としてもお馴染みです。生成の過程で異物が混入することがあり、特に虫入りの琥珀は希少価値が高いとされています。

主な産地は、バルト海沿岸とカリブ海のドミニカ共和国、そして日本です。特に岩手県久慈市が有名で、良質の虫入り琥珀を産出することで知られています。

茶色の宝石.2「スモーキー・クオーツ」

クオーツとは英語で水晶のことです。純粋な水晶は無色透明ですが、不純物を含むことでさまざまなカラーの色付き水晶となります。スモーキークオーツは、長期間に渡って地中で天然の放射線を浴びることにより、茶色味を帯びるようになるといわれています。

日本語では、茶水晶や煙水晶などと呼ばれます。

スモーキークオーツは、普通の水晶に放射線を照射することで人工的に生成することも可能です。高品質な天然のスモーキークオーツは比較的希少なため、安価なものは人工である場合が多いです。かつてはトパーズの変種と考えられていたため、古くはスモーキートパーズと呼ばれていた時期もありました。

茶色の宝石.3「ボルダー・オパール」

オパールは、2つと同じ色の石はないというくらい、豊かな色合いが魅力です。特に、結晶をもたない非晶質に由来する遊色効果で知られ、見る角度などによりさまざまな色の光が乱反射します。

ボルダーオパールは、オーストラリアのクイーンズランド州でしか採掘されません。ボルダーとは、ある堆積構造における最大の構成岩石を指す地質学用語です。鉄鉱石の基底礫岩にオパール層が固着していることから、この名が付きました。

茶色いボルダーにオパールの虹色の乱反射光がキラキラと輝く、独特の取り合わせが一番の特徴。大枠ではブラックオパールの変種に分類されることが多く、どちらも母石の色が暗いことから、オパールの遊色効果がより引き立つといわれています。

茶色の宝石.4「タイガーアイ」

タイガーアイは、猫の目のような光の筋ができる「キャッツアイ効果(シャトヤンシー)」が魅力です。

キャッツアイ(猫目石)といえばクリソベリル(金緑石)が代表的で、角閃石の1種であるリーベック閃石がキャッツアイ効果を帯びたものを、猫に対して「タイガーアイ(虎目石)」呼びます。他にも色や組成によって「ホークスアイ(鷹目石)」や「ウルフアイ(狼目石)」などもあります。

古代のエジプトやローマで、破邪招福のパワーストーンとして用いられていたといわれていますが、それらはタイガーアイではなくキャッツアイであったともいわれ、はっきりとした歴史は定かではありません。現代では世界各地で商業用に採掘され、南アフリカとタイが主な産地となっています。加工の際はキャッツアイを効果的に見せるため、丸みを帯びたカボション・カットを施されるのがメジャーです。

茶色の宝石.5「ブラウン・スファレライト」

スファレライトは日本語で「閃亜鉛鉱」と呼ばれる硫化亜鉛の1種で、鉱物としては特に貴重なものではありません。ギリシャ語で嘘つきを意味する「スファロス(sphaleros)」が語源とされ、銀や鉛を含む方鉛鉱と似ていて紛らわしかったことからこの名が付いたとされています。

スファレライトの中でも鉄の含有量の少ないものは透明度の高い琥珀色となり、「べっ甲亜鉛」とも称されます。宝石として利用できるほど高品質のスファレライトとなるととても希少で、流通量も多くありません。

一番の魅力はその輝きで、ダイヤモンドの実に4倍もの光を分散します。屈折率もダイヤと同じくらいで、キラキラとした眩い光沢を放ちます。他方で、脆く柔らかい鉱物であることから、ジュエリー加工が難しいのも特徴です。

茶色の宝石.6「マリ・ガーネット」

マリガーネットは、1994年にアフリカのマリ共和国で発見されたばかりの新しいジュエリーです。名前の由来はもちろん産出国のマリですが、今では同じアフリカのタンザニアやマダガスカル、インド洋のスリランカでも採掘されています。

分類上はグロッシュラー(灰礬柘榴石)ないしアンドラダイト(灰鉄柘榴石)の2種類のガーネットに属し、前者に近づけば緑色、後者なら茶色系となります。緑色のものが最も高価ですが、なかには2色混合のバイカラーや3色以上のパーティーカラーといった変種も。屈折率や分散率も高く、多面カットでダイヤモンドのような輝きが楽しめます。

茶色の宝石.7「ブラウン・コーネルピン」

1884年にグリーンランド南西部のフィスカーネスで発見されたコーネルピンは、西グリーンランドへの遠征探検隊に参加したデンマークの地質学者アンドレアス・コーネルプへの献名として名付けられました。

顕著な多色性が特徴で、茶色の他に黄色や緑、青など光の角度によってさまざまなカラーに変化します。鉱物としての特徴はエメラルドに似ていて、やはり緑や青色のものが人気ですが、産出量としては茶色系が多いとされています。

ジュエリーの中では知名度が高いとはいえず、希少であることからマイナー志向の人におすすめです。硬度も十分にあるので、普段使いのアクセサリーにも使えます。

茶色の宝石.8「ブラウン・ヘソナイト・ガーネット」

ヘソナイトガーネットは、前出のグロッサリーに分類されるガーネットの1種です。ヘソナイトの名称はギリシャ語で「劣る」という意味の「hesson(エッソン)」から取られたもので、他のガーネットより硬度や屈折率が低いことに由来しています。硬度が低いといっても、加工するうえで問題はありません。

ジュエリーとしてはオレンジガーネットという呼称も一般的です。オレンジといっても赤ないし茶色に寄った色合いで、稀に前者を「シナモン・ストーン」、後者を「ジャーシンス」や「ヒヤシンス」と表記することもあります。ヘソナイトには糖蜜状組織(トリークル)と呼ばれる内包物があり、蜂蜜を水に溶かしたような独特の流紋が見られるのも大きな特徴です。

茶色の宝石.9「アキシナイト」

斧を意味するアックス(Axe)に由来するアキシナイトは、語源のとおり原石が斧の刃のように鋭い結晶となっているのが特徴です。和名もそのまんま「斧石」で、成分組成によってさらに大きく4種類に分けられます。茶色系が多い一方、黄色や紫、青などカラーのバリエーションは豊富です。

一般に流通しているのは鉄斧石で、透明性と深みのあるブラウンの輝きが魅力です。加熱すると電気を生じるという特性があることから、かつてはトルマリン(電気石)に属する鉱物と考えられていました。ジュエリーとしても美しいですが、その個性的な形状から鉱石コレクションとしても人気です。

茶色の宝石.10「ブラウン・ダイヤモンド」

ダイヤモンドといえば、無色透明のクリアな輝きにより、宝石の中の宝石として君臨しています。

ですが実際に採掘されるダイヤモンドは、無色よりも茶色を始めとするカラーダイヤモンドの方が多いとされています。ブラウンダイヤモンドはホワイトダイヤよりも安価でありながら、その光沢と輝きは同じため、近年ジュエリー素材として見直されるようになりました。

ひとくちにブラウンダイヤといっても、その色味の濃淡はさまざま。個性をともなったダイヤモンドの新しい楽しみ方として、ブラウンダイヤモンドをメインに据えたアクセサリーもリリースされるようになっています。

茶色の宝石.11「エンスタタイト」

最後に紹介するエンスタタイトは、ジュエリー素材としてはなかなか目にすることのない珍しい鉱物です。

和名を「頑火輝石(がんかきせき)」といい、名前のとおり熱火に強く、1400度という高い融点が大きな特徴です。エンスタタイトという名称も、「抵抗するもの」という意味のギリシャ語「エンスタテス(enstates)」に由来しています。

その特性から高温炉の耐火材などとして利用されますが、宝飾品としての需要はとても小規模です。ジュエリーとして採掘されることも稀で、カッティングされたエンスタタイトが出回ることも滅多にありません。

まとめ|宝石を詳しく鑑定するなら宝石買取店がおすすめ

ジュエリーにおいて茶色というと、琥珀を除けばあまり一般的ではないものが多いかもしれません。

ですが、落ち着きや温かみを感じさせてくれるブラウンは、見る人の心に安らぎを与えてくれます。ジュエリー選びの際には、ぜひ茶色系の宝石も候補に入れてみてください。

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