「このブランドってこんなにお手頃だったっけ?」
バッグや財布を探していて、こんな思いをした方はいませんか?
もしかしたらそれは「セカンドライン」だったかも。
セカンドラインとは、高級ブランドが手掛けるサブブランドのようなもので、メインブランドよりも価格を抑えた商品展開が特徴です。
なぜわざわざ別名でブランドを立ち上げるの?
そこには高級ブランドのビジネス戦略があったのです。
目次
セカンドラインの意味と目的って?
ブランド側は、できるだけ多くのお客様に自社商品を買ってもらいたいと思っています。
廉価なブランドの場合は、誰もが手に取りやすく、気軽に購入できますが、高級ブランドになるとそうはいきません。購入できる客層が限られてしまうわけです。
高級ブランドが購買層を広げるためには、商品価格を安く抑えたアイテムを発売すれば良いわけですが、例えばもし、高級ブランドとして名高い「プラダ」が、数千円のバッグを発売し始めたらどうでしょう・・・?
プラダに憧れていた新規ユーザーは喜ぶかも知れませんが、それまでブランド価値やステータス性を魅力として好んで愛用していた既存ユーザーはがっかりしますよね。
メインの高級ブランドが、安易に低価格商品を販売することはこうしたリスクがあるわけです。
これを解消するために立ち上げるのが「セカンドライン」。
メインブランドと似た名称のセカンドラインを立ち上げ、より低価格のアイテム展開をすることによって、メインブランドのブランドイメージを崩すことなく、その知名度を活かし、新たな客層へのアプローチが可能になります。
メインブランドの既存ユーザーにとっても、価格帯やコンセプトの違うサブブランドという立ち位置がはっきりしていますから、客離れにつながることはありません。
また「セカンドライン」には、ブランドの間口を広げセカンドラインをきっかけにメインブランドも知ってもらい、将来的にはメインブランドの顧客にする目的もあります。
そのため「セカンドライン」とは、単純に品質と価格を落とした下位互換ブランドではなく、メインブランドとはターゲット層やコンセプトを区別したサブブランドだと言えるでしょう。
セカンドライン6選|有名ブランド
それではここから、有名ブランドの代表的なセカンドラインを紹介していきます。
ミュウミュウ(プラダ)
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ブランドのセカンドラインと聞いて真っ先に思い浮かぶのが「ミュウミュウ」という方も多いかも知れません。
プラダとミュウミュウの関係性はよく知られていますが、正しくはセカンドラインではなく、「姉妹ブランド」という位置づけ。
創業者の孫娘であるミウッチャ・プラダによって設立された「ミュウミュウ」ですが、ブランドの世界観はクールで洗練されたプラダとは異なり、フェミニンで可憐。
ミュウミュウにしか出せない乙女らしさを感じるアイテムが多いです。
シーバイクロエ(クロエ)
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シーバイクロエはクロエのセカンドラインとして2001年に誕生しました。
クロエはもともと「ラグジュアリー・プレタポルテ」という概念で、高級ブランドをより身近なものにした立役者ですが、「シーバイクロエ」はそんなクロエの伝統とフェミニンなイメージを受け継ぎつつも、よりカジュアルで親しみやすいセカンドラインとなっています。
商品の価格帯も、財布なら1万円台、バッグも2万円台から購入できるため、クロエでは狙いづらかった20代前半のユーザー取り込むことにも成功しています。
エンポリオ・アルマーニ(アルマーニ)
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「エンポリオ・アルマーニ」はアルマーニがブランド認知の拡大を狙って1980年代に立ち上げたセカンドラインです。
アルマーニは他にもいくつかのラインを展開していますが、「アルマーニ」というブランドはなく、「ジョルジオ・アルマーニ」がファーストラインになります。ジョルジオ・アルマーニの商品は大体20万以上するのに対し、セカンドラインである「エンポリオ・アルマーニ」は2万円程度から購入可能。アンダーウェアはさらにリーズナブルで手軽なため人気です。
ファーストラインよりも圧倒的に手の届きやすい価格設定になっており、20・30代の若い男性に人気の高いブランドです。
レッドヴァレンティノ(ヴァレンティノ)
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イタリアの老舗ブランド「ヴァレンティノ」のセカンドラインとして2003年に誕生したのが「レッドヴァレンティノ」です。
「ヴァレンティノの赤」で知られるように、イタリアファッション界の歴史を変えたと言われるヴァレンティノですが、その独創性と歴史を引き継ぎつつも、ガーリーなポップさも取り入れたセカンドラインとなっています。
メインブランドとは異なり、レッドヴァレンティノはレディースのみのアイテム展開で、商品のラインナップを見ても、若い女性を狙い撃ちしたセカンドラインと言えそうです。
グッチプラス / グッチパフューム(グッチ)
グッチのセカンドラインである「グッチプラス」と「グッチパフューム」は誕生の背景がこれまで紹介したセカンドラインとは別物です。
いずれのブランドも1950~1960年頃、お家騒動の中でグッチ家が分裂した際に、別会社で立ち上げられたもので、現在は存在しません。
ヴィンテージでしか手に入らないアイテムになりますので、希少性が高くコレクターの間では「幻のセカンドライン」とも呼ばれています。
他のセカンドラインとは意味合いが異なりますが、知っておくとグッチに対する興味関心も高まってきますね。
ザ・マークジェイコブス(マークジェイコブス)
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ルイヴィトンのデザイナーを17年間務め、天才とも呼ばれるニューヨーク生まれのマークジェイコブスが、1986年自身の名で立ち上げたブランドが「マークジェイコブス」。
セカンドラインとしては2001年にスタートさせた「マークバイジェイコブス」が知られていますが、こちらは2015年にファーストラインとの統合が発表され、ブランドは終了しました。
そんなマークバイジェイコブスが2019年、新たなセカンドラインとして立ち上げたのが「THE MARC JACOBS(ザ・マークジェイコブス)」です。
アメリカ生まれのブランドらしく、既成概念に捕らわれない色使いのデザインも多く、遊び心に溢れたマークジェイコブスですが、セカンドラインもその流れを踏襲しつつ、「より個性的にファッションを楽しむ」ことをコンセプトとしたアイテム展開で、購買層を広げることを目指しています。
また、「マークバイ」とは異なり、マークジェイコブス自身がデザイナーとして携わっていることも注目度を一層上げています。
お馴染みのダブルJのモチーフはザ・マークジェイコブスを印象付けるアイコンになっています。
まとめ
セカンドラインの意味や高級ブランドが立ち上げる目的をお話しました。
いきなり高級ブランドを買うとなると敷居が高い方でも、セカンドラインならば手の届きやすい価格で、ブランドの世界観に触れることができます。
またファーストラインでは味わえない遊び心やカジュアルさがセカンドラインにはありますので、既存ユーザーにとっても楽しみの幅を広げてくれる存在になるでしょう。
皆さんもセカンドラインをきっかけに、ブランドデビューをしてみてはいかがでしょうか。