プラチナの純度や種類による違い【Pt850・Pt900・Pt950・純プラチナ】
指輪やブレスレットなどの素材として人気の貴金属プラチナ。
金に「18金」「14金」といった純度があるように、プラチナ製品にもプラチナ900やプラチナ850といった純度の種類があります。
結婚指輪などを購入する際に、どの純度を選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はプラチナの純度それぞれの特徴や違い、メリット/デメリットを解説していきます。
プラチナの特徴や性質
プラチナは白銀色で美しい輝きを持つ貴金属の一種で、正式名称は「白金」といいます。元素記号から「Pt」と表記されることもあります。
ゴージャスな雰囲気のある金と比べると控えめで、日常的に身に着ける結婚指輪として選ぶ人も少なくありません。ただ、日本では結婚指輪の素材として圧倒的な人気を誇るものの海外ではそうでもなく、世界的に見ればゴールドのほうが主流です。
金(ゴールド)と同様とても柔らかい性質を持つプラチナですが、金やシルバーと比べると加工がしにくいこともあり、純度100%の純プラチナは宝飾品など細かな加工には向いていません。リングなどシンプルな形状のアクセサリーでも、日常の衝撃で傷が付いたり、変形してしまったりする恐れがあります。
多くの場合、ジュエリーに用いられるプラチナはパラジウム・ルテニウム・銅・イリジウムなど、他の金属との合金として強度を底上げしています。この混ぜ合わせる金属のことを「割金(わりきん)」と呼びます。
割金が増えればプラチナの純度は下がりますが、傷や変形に強いプラチナ合金となり、繊細な装飾を施したり、ダイヤモンドなどの宝石をはめ込んだりといった加工がしやすくなるというメリットも。
プラチナジュエリーというとシックな銀白色が魅力ですが、純粋なプラチナはやや黒みを帯びた色合いです。合金とすることによって割金の色やツヤが加味され、清楚な銀白色の輝きが生まれるのです。
それでは、純度別のプラチナの種類にはどのようなものがあるのでしょう。
日本の造幣局で品位証明されている4種「純プラチナ」「プラチナ950」「プラチナ900」「プラチナ850」、そして「プラチナ750」のそれぞれについて解説していきます。
純プラチナ(Pt999)の特徴
プラチナの純度は千分率で表されます。すなわち、100%の純プラチナは「プラチナ1000」や「Pt1000」となります。ただし、理論上100%純粋な金属を作ることはできません。プラチナの場合、現代の技術では99.9%以上というのが限界とされています。
そのため、近年では純度表記もより正確に「Pt999」とすることが多くなっています。ただし、「Pt1000」と「Pt999」の間に製品としての違いはありません。
純プラチナは、ジュエリーよりも投資用のインゴットやコイン、工業用としての需要が主です。傷が付きやすく、プラチナ合金より輝きが鈍いといった特徴もあります。
そういったデメリットがありながらも他方で、純粋な愛を誓うという意味で、エンゲージリングや結婚指輪に純プラチナをあえて用いる人も少なくありません。日本は世界でも特にプラチナが好きな国といわれ、純プラチナのリングも例外的に流通しています。
純プラチナと金の違い
プラチナと金は、どちらも希少価値の高い貴金属です。しかし、金は古代から通貨に用いられるなど世界共通の資産価値が認められているのに対し、プラチナは産出量のおよそ6割が工業の分野で使われるという性格の違いがあります。
投資用の現物資産として見た場合、両者の差はより顕著です。「有事の金」とも呼ばれる金は、世界情勢が不安定になるほど安全資産として相場価格が上昇する傾向があります。一方プラチナは、工業需要に価値を依存していることから、景気の動向に左右されやすいのが特徴です。
南アフリカとロシアで世界のプラチナ産出シェアの9割近くを占めているという極端な偏りも、金との相違点の1つです。値動きのメカニズムが金と大きく異なるという点は、プラチナ投資での資産運用を考えるうえで重要なポイントとなります。
産業界でも欠かせない純プラチナ
宝飾品のイメージが強いプラチナですが、産業界でも欠かせないレアメタルであるという点も、プラチナの大きな特色です。
特に需要が高いのが自動車産業の分野で、ディーゼルエンジンなどの排ガスを浄化する装置の触媒として用いられています。
また、近年は医療業界でもプラチナが大きく注目されています。
身体に負担の少ない手術法として年々技術が進歩しているカテーテル治療。そのカテーテルの先端や治療器具がどこにあるのかをmm単位で把握するために、X線を通しにくい純プラチナの有用性が期待されているのです。
プラチナ950(Pt950)の特徴
プラチナ含有量が95%で、他の金属が5%配合されているのがプラチナ950です。純プラチナよりも硬さや輝きがあり、ジュエリーとしての加工も可能となります。
割り金(合金を作る際に、ベースとなる金属に混ぜる金属)の割合が低く、できるだけ純度の高いものを身に着けたい人には、最良の選択肢となるでしょう。資産価値も高いです。
デメリットとしては、金属アレルギーを起こす可能性がゼロではないことと、純度が低いものよりは柔らかく傷が付きやすいことが挙げられます。割金の量が少ないため、金属アレルギーになりにくいメリットもあります。
「プラチナ・ギルド・インターナショナル(PGI)」の国際基準では、プラチナ950以上の純度のものだけがプラチナとして認められています。そのため、海外ブランドのプラチナ製品ではPt950が主流です。
日本ではプラチナ950はメジャーではないため、海外ブランドのプラチナリングなどに傷が付いて修理に出す際、国内の工房では対応してもらえないこともありますので注意が必要です。
プラチナ900(Pt900)の特徴
プラチナ900は純度90%のプラチナです。
十分な硬さに加え価格も手頃となるため、世界でもとくにプラチナ好きといわれる日本でよく取り扱われています。そのため修繕やサイズ直しなどの修理に対応してくれる工房が多い点もメリットです。
プラチナ950よりも割金が多い分、強度も高められ変形にも強くなっています。
他方で、純度が下がるに連れて気を付けなければならないのが金属アレルギーです。金属アレルギーは、汗などのヒトの分泌物に金属イオンが溶け出すことで引き起こされます。プラチナ自体は化学的にとても安定した元素なので、王水という特殊な液体以外には溶けることがありません。
ですが、割金の方はアレルゲンとなりうるため、金属アレルギーが心配な人は、できるだけ純度の高いプラチナを選ぶとよいでしょう。
割金として使われるのは、主にパラジウム(Pd)で、イリジウム(Ir)やルテニウム(Ru)が使用された商品もあります。これらの金属にアレルギーの不安がある方は、事前にパッチテストなどで、アレルギーの有無を確認しておくと安心です。
アレルギーと共に気になるのがアクセサリーの変色ですが、プラチナ自体は劣化に非常に強く、割金としてよく用いられるパラジウムも変色しにくい金属ですので、変色への心配はあまりないでしょう。
結婚指輪にはプラチナ900が人気
一生に一度のブライダルジュエリーとしては、やはり装飾加工に向いたプラチナの中で最も純度の高いプラチナ950やプラチナ900が好まれています。
日本では結婚指輪として最もポピュラーな素材がプラチナ900です。
プラチナ900は加工のしやすさと、高純度の価値とのバランスの取れた素材と言えるでしょう。肌が弱くアレルギーに不安のある方などはより純度の高いプラチナ950を選ぶのもいいと思います。
プラチナ850(Pt850)の特徴
プラチナ850は割金が15%配合されており、硬度が高く加工がしやすい素材です。プラチナ900より純度が低い分、安価です。
ISO国際標準化機構や社団法人日本ジュエリー協会など日本の規格では、プラチナ850までがプラチナとして認められています。
プラチナのネックレス製品の場合、ペンダントトップにプラチナ900を使用し、チェーン部分はプラチナ850で作ることが一般的です。
ただし、割金の配合が増えている分、アレルギーへのリスクはプラチナ900よりもあるため、プラチナ850が使われた商品を購入する際は、事前に確認しておいたほうがいいでしょう。
プラチナ750(Pt750)の特徴
75%という純度は、24分率で表記される金での18金と同じ比率です。割金の配合が25%と多く、強度には優れていますが、日本では純度85%以上のものしか「プラチナ」と認められませんので、正しくはプラチナ750はプラチナ製品ではありません。
上に挙げた4つの品位区分から外れているため、造幣局の品位証明も受けることができません。
プラチナ650・585・505
これ以外に、まだ低い純度のプラチナもあります。純度が65%のPt650、純度が58.5%のPt585、純度が50.5%のPt505です。
Pt650はマイナーであまりジュエリーに使われません。
Pt585はリーズナブルな素材として注目されつつあり、価格の安さがメリットです。ただしプラチナジュエリー表記はありません。
Pt505京セラが開発した「ファーストプラチナ」はこの純度です。リーズナブルというメリットがある反面、資産価値は期待できません。
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