プラチナの価値はなくなってしまう?相場と今後の予想について

作成日:2022年03月28日
最終更新日:2022年03月31日

プラチナ

プラチナ

 

一般社団法人日本金地金流通協会によると、2020年の世界の金の産出量は3486.5t、プラチナの産出量は153.8tとなっています。

(参考:https://www.jgma.or.jp/information/gold-data/、https://www.jgma.or.jp/information/platinum-data/)

 

金はプラチナの22倍以上も産出されているため、プラチナのほうが希少価値と相場が高いと考えられますが、現在は金の相場のほうが高い状態が続いています。

 

金はぐんぐん高騰しているのに対し、下落し続けるプラチナ相場から

 

「いずれプラチナの価値はなくなるのでは?」と危惧する声もあります。

 

この逆転現象の原因は、それぞれの使用用途や国際情勢にあります。詳しい原因と、プラチナの今後の展望について見ていきましょう。

プラチナの価値が下がった理由

プラチナの価値が下がってしまった主な理由としては、次の二つが挙げられます。

 

1,自動車産業での需要の減少

2,南アフリカ通貨(ランド)の価格下落

 

まずは【自動車産業の需要の減少】についてです。

 

日本では結婚指輪に使われるなど宝飾品としてのイメージの高いプラチナですが、実は世界的に見ると医療や工業の触媒として利用されることが多く、中でも自動車産業における需要が高いのです。

 

主な用途としてはディーゼル車の排気ガスを浄化するための触媒としてですが、ヨーロッパを中心として脱ディーゼル車の動きがあったり、新型コロナウイルスの感染拡大による自動車生産の落ち込みがあったりと自動車の需要が落ち込みを見せる中、プラチナの需要も連動して減少しているのです。

 

この需要の下落が、プラチナの価格下降に大きく影響を与えています。

 

次に【南アフリカ通貨である「ランド」の価格下落】についてです。

 

世界中でプラチナを最も多く産出しているの国は南アフリカで、全体の7割を占めています。

 

ランドは金利が高いため世界中の投資家から人気の通貨です。通常世界情勢や、南アフリカの景気が安定している時などは通貨価値が上昇するのですが、悪化すると瞬く間に影響を受けます。

 

2008年のリーマンショックによる金融危機や近年の自動車産業の需要の減少といった世界情勢の悪化などによるリスク回避が始まった時は、資金が流出していくためランドが下落していきました。このランドの下落が、プラチナの価格の減少に繋がってしまったということです。

プラチナと金の相違点

「プラチナと金の相違点」のイメージ画像

プラチナと金は貴金属の1種です。そのもの自体に価値がある「実物資産」ですので、株や債券のような金融資産とは異なり、価値がなくなることがありません。

ただし、貴金属でも価格の変動リスクは種類により大きく異なってきます。

プラチナとゴールドでは、どっちの変動リスクが上なのでしょうか?

プラチナと金との比較において大きく違うのが、プラチナは先述したとおり、世界情勢の悪化や景気の変動などの要因によって価格下落が起きやすいのに対して、金は不景気の時でも価格が安定している、また世界的な経済ショック時の価格下落の影響が少ないという特徴があることです。

金もプラチナと同じように世界的な経済ショックでは価格変動は起きるのですが、影響が一時的で回復が早いという違いがあります。

実際に、リーマンショックやコロナ禍の影響で一時的に金の価値は下がったものの、数ヶ月で元の価値まで戻っただけでなく、その後右肩上がりに価値が上がったという例があります。

また、金の価格はインフレが起こると上昇する傾向にあります。

かといって、逆にデフレで金の価値が下がるのかというとそういうわけではありません。安全資産として金に投資する人が増えるためです。

このように、世界情勢が悪化しても価格変動が起きにくいというのが、プラチナと金と比較した場合のの大きな違いになります。

プラチナと金では用途も異なる

「プラチナと金では用途も異なる」のイメージ画像

プラチナの融点は1,700度と高いため、溶けにくく、腐食したり変質したりしにくいという特徴があります。

そのため、アクセサリーだけでなく自動車の部品やペースメーカーなどの医療器具、ハードディスクなどの工業用品といった用途にも使われます。特に自動車産業の需要が高く、全体の6割を占めています。

金も腐食しにくいという特徴がありますが、プラチナと違い柔らかい素材のため、展延性(破れず柔軟に変形すること)があります。

金箔など薄く加工して使用することができるのですが、金の純度が高くなればなるほど柔らかすぎてアクセサリーにするには不向きになります。

電気伝導率が高いため、パソコンなどの電子部品にも金が使われています。

これまではアクセサリーとしての需要が高かった金ですが、年々工業用などの需要も増加しています。

プラチナ価格に影響を与える4つの要因

「プラチナ価格に影響を与える4つの要因」のイメージ画像

プラチナの価格に影響を与えるのは大きく4つの要因があります。

 

まず1つ目は金融緩和です。

 

先進国が金融緩和を行うと、貴金属の価値が上昇するため、これによりプラチナの価値が上昇します。

 

2つ目は自動車産業の需要の変化です。

 

先程述べた脱ディーゼルの動きでプラチナの需要が減少する一方、エコカーに対する需要が高まっています。 用途はディーゼル車と同じく排気ガス浄化装置の利用ではあるのですが、エコカーの普及が進めばプラチナもの需要も増えるため、価値が高くなることが見込まれます。

 

自動車産業関連では、エコカー以外にも燃料電池車(水素自動車)の普及による需要が高まることが期待されています。燃料電池車では水素と酸素を化学反応させて電気を発生させ、その電気をモーターに流すことで走らせる、という仕組みになっているのですが、この水素と酸素を化学反応させる際に使う触媒もプラチナが利用されているのです。

 

中国では2030年には100万台の燃料電池車を生産するとしており、そのため多くのプラチナを利用するという見通しになっています。燃料電池車の生産が進むにつれて、プラチナの需要が高まっていくと考えられます。

 

燃料電池車と同じ仕組みで水素社会の実現に向けた動きがあることもプラチナの価格に影響を与える要因となるでしょう。

 

水素社会とは日常生活や経済社会に水素を利用することが浸透している社会のことで、石油や天然ガスの代わりに水素エネルギーを使うということです。

 

経済産業省では水素を新しい資源として2050年までに温室効果ガスを0にするという目標を掲げています。水素を新しい資源として利用するためには水素生成装置が必須となるのですが、水素生成装置にはプラチナが使われているため、ここでもプラチナの需要が見込めるといえます。

 

プラチナの価格の動向を知るためには

 

1,金融緩和

2,エコカーの普及

3,燃料電池車の普及

4,水素社会実現の動き

 

以上4つの要因をチェックしておく必要があるということになります。

2022年現在のプラチナ価格の値動きについて

「2022年現在のプラチナ価格の値動きについて」のイメージ画像

2015年に起きた排ガス規制に関する不正が起きディーゼル離れが顕著になったため、ディーゼル車の需要減少とともにプラチナの価格は下落傾向にあったのですが、アメリカのバイデン大統領が当選したことで上昇の動きをみせました。

 

バイデン大統領が選挙中に掲げていた政策の中に再生エネルギーへの投資があったことから、プラチナの需要が見込まれるという期待が生まれたためです。

 

また、2022年3月現在は石油価格の高騰によるインフレやロシアとウクライナ情勢悪化などを原因としてプラチナの価格が上昇しています。

 

プラチナの価値がなくなってしまう、と不安視する声があるようですが、現状それはありえません。

今後のプラチナ価格相場も注視する必要がある

コロナに見舞われたことによる世界中の景気の悪化、脱ディーゼル車の動きなどによってプラチナの価格は下がってしまいました。

 

仮にコロナ禍が収束したとしても、脱ディーゼルの動きがある以上はこの先もすぐにプラチナの価格が上がるとは考えにくく、今後の価格推移は不透明であるといえます。

 

燃料電池車の普及や水素社会の実現などが現実的になっていけば、プラチナの価格が上がる可能性が十分ありますが、まだまだ時間がかかりそうです。

 

今後の世界情勢や政策の動向に注目して行くことが重要といえるでしょう。

まとめ

プラチナの価格が下落した原因は自動車産業の需要の減少や南アフリカの通貨価値による影響が大きい大きいことがわかりました。

今後の価格推移については、コロナ禍による景気悪化も相まって、しばらくの間は上がるとはいえない状況です。

しかし、将来的にエコカーや燃料電池車の普及、水素社会の実現が進むにつれてプラチナの需要が高まるため、長い目で見れば利益を生み出す可能性が高いものの、以前のように金の価値を上回るまでには時間がかかるといえるでしょう。

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