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その美しい輝きで多くの人を虜にする宝石、ダイヤモンド。
宝石の王様ともいわれ、結婚指輪の定番にもなっています。
ところがその読み方について、日本語では「ダイヤモンド」と「ダイアモンド」という2通りの表記があるため、どちらを使うべきか悩む人も多いのではないでしょうか。
ダイヤ?ダイア?正しいのはどっち?
まず使用状況について、新聞やwebサイトなどで一般的に使用されているのは「ダイヤモンド」です。
宝石の専門書も「ダイヤモンド」で統一されており、インターネットのgoogle検索で「ダイアモンド」と入力しても上位に表示されるのは「ダイヤモンド」とタイトルが付く記事がほとんどです。
じゃあ「ダイヤモンド」が正解で、「ダイアモンド」は間違いなの・・・?
ところがそうではないんです!
結論からいえば、「どっちも正しい」のです。
なぜどちらも正しいと言えるのか?
これは、もとの英単語である「Diamond」の発音に、日本語を当てはめているため。
下記のように日本語で表記したとき「ヤ」と「ア」の両方が使われる外来語は少なくありません。
【ヒアリング/ヒヤリング】
【イヤリング/イアリング】
【ベルトコンベア/ベルトコンベヤ】
そしてこれらも「ヤ」と「ア」いずれの表記も正しいのです。
「ヒアリング」を「ヒヤリング」と書く人もいますし、「ベルトコンベア」は「ベルトコンベヤ」と表記する場合もあります。
こうした「外来語の表記」については「文化庁の国語施策」にて留意事項として記されています。
外来語の表記 留意事項その2(細則的な事項)
4 イ列・エ列の音の次のアの音に当たるものは,原則として「ア」と書く。
〔例〕 グラビア ピアノ フェアプレー アジア(地) イタリア(地) ミネアポリス(地)
注1 「ヤ」と書く慣用のある場合は,それによる。
〔例〕 タイヤ ダイヤモンド ダイヤル ベニヤ板
注2 「ギリシャ」「ペルシャ」について「ギリシア」「ペルシア」と書く慣用もある。
参考:文化庁・国語施策「外来語の表記 留意事項その2(細則的な事項)」
ただしこのルールは法律のような厳格なものではなく「留意事項」とあるように「心にとどめておいてくださいね」といったニュアンスのものです。
事実、注1にあるように「ダイヤ」「ダイヤモンド」についてはこの表記のルールの例外として、「慣用とされている=そのことが一般的になっている、習慣になっている」場合はそれに従うこととされています。
これらを踏まえて、「ダイヤモンド」「ダイアモンド」の読み方について結論づけるとするなら以下のようになるでしょう。
外来語の表記としては「ダイアモンド」が正しい。
しかし、一般に普及している「ダイヤモンド」もまた間違いではなく正しい。
よって「ダイヤ」と「ダイア」はどちらも正しい。
ということになります。
「Diamond」の名前の由来や歴史
ダイヤモンドの和名は「金剛石(こんごうせき)」です。
金剛には「金属の中でもっとも硬いもの」「強固で壊れないもの」という意味があります。この和名は、宝石の中で1番の硬さを誇るダイヤモンドの性質をよく表現しているといえるでしょう。
ダイヤモンドは「どんなものにも征服されない」という意味の、ギリシア語「adamazein」が語源です。はるか昔から、傷のひとつもつけられないような硬い石として認識されていたことがうかがえます。
人類がダイヤモンドと出会ったのは、紀元前4世紀頃のインドだと推測されています。
やがてそれがヨーロッパに伝わり、研磨技術が確立され、上流階級の人々に愛されるようになりました。
ダイヤモンドの歴史を語るうえで外せないのは、「ラウンド・ブリリアントカット」の発明です。1919年にベルギーのマルセル・トルコフスキーが発表したこのカット方法は、原石が持つ輝きを最大限に引き出す秀逸なものであり、現在も大多数のダイヤモンドのルーツとなっています。
日本ではダイヤモンドの歴史はそれほど長くなく、入ってきたのは江戸時代後期といわれています。とはいっても明治の鹿鳴館時代のころは、一部の上流階級の人々のみが身につけるものでした。
現在のように一般大衆にも広まったのは、戦後になってからのことです。
表記を統一することが大事
「ダイヤモンド」も「ダイアモンド」も、正しい読み方です。
だからこそ注意したい点が「表記の統一」
同じ文書内で「ダイヤモンド」「ダイアモンド」いずれの表記も混じっていては読み手が混乱させ、記事の品質を下げることになりかねません。
ダイヤモンドに限らず、外来語を使用する際は、初めにどちらを使うかしっかり決めておくと良いでしょう。