ダイヤモンドの原石は地球からの預かり物|採掘方法と種類

作成日:2020年06月10日
最終更新日:2020年06月10日

ダイヤモンド

 

ダイヤモンドの原石 メイカブル

 

 

「ダイヤの原石」――優れた素質があると見込まれた人を称する比喩表現です。

 

私たちが目にする華やかなダイヤモンドジュエリーも、初めはゴツゴツとした原石でした。

 

それらの原石がどのように採掘され、分類され、美しいダイヤモンドになるのか。

 

今回はダイヤモンドの原石について、採掘方法や原石の種類をご紹介します。

ダイヤモンドの原石とは

「ダイヤモンドの原石とは」のイメージ画像

原石とは加工する前の石、つまり「採掘されたままの石」のことです。

 

「ルース(裸石)」と混同される場合もありますが、ルース(裸石)とは原石を加工(カット・研磨)した後の宝石を指します。

 

「ラフダイヤモンド」とも呼ばれるダイヤモンドの原石は高品質な宝石用、低品質な工業用、というように品質によって分けられます。そして原石の形によっても分類されます。これらはあまり知られていないダイヤモンドの裏話かも知れません。

 

原石の品質や形と共に重要なのが、「原石の産地」です。宝石鑑定の権威「米国宝石学会(GIA)」もダイヤモンドの原産地の重要性を説いています。

 

ダイヤモンドの原産地を知ることは、ダイヤモンドが責任を持って採掘されたことを理解することの第一歩です。原産地について分かっているダイヤモンドを購入すると、その購入がその国の地域社会の発展に与える影響をより一層理解することができます。かつては困難な状況に陥っていた場所で人々が繁栄するのを支援するだけでなく、インフラの整備、若者の教育、医療制度を国民にもたらすのにも貢献しています。

引用 GIA「ダイヤモンド原産地レポート」

 

ダイヤモンド原石の原産地についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

 

関連記事:ダイヤモンドの生産国ランキング|採掘量や採掘方法について

 

ではダイヤモンド原石の採掘方法から見ていきましょう。

原石の採掘方法3つ

天然のダイヤモンドはおよそ30億年もの遥か昔、地球深部の超高熱と超高圧の中で作られました。地中で生まれたダイヤモンドの原石が数億年前の火山活動によって地表に現れたものが、いまわたしたちが目にしているダイヤモンドです。

 

ではダイヤモンドの原石はどのようにして採掘されるのでしょうか。主に3つの採掘方法があります。

パンニング

「パンニング」のイメージ画像

パンニングは砂金を採る方法としてもお馴染みで、川でザル状の皿を手に、砂を洗い流しながら原石を探すやり方です。

 

パンニングの名称は用いられる皿から来ています。パンニング皿は市販もされており、わたしたちでも可能なダイヤモンドの採掘方法です。古くから行われてきた採掘法でもあります。

 

とは言え、現代となってはあまりに非効率で、かつ大きなダイヤモンド原石の採掘が困難なため、今ではほとんど行われていません。

パイプ鉱床

「パイプ鉱床」のイメージ画像

パイプ鉱床は、パンニングに代わって主流になっていった採掘方法です。

 

地面に大きな穴を掘って原石を採掘する方法です。

 

冷えたマグマがダイヤモンド原石を含んだ岩石になったものを「キンバーライト」と呼びますが、このキンバーライトが円筒状になっているものを「ダイヤモンドパイプ」と呼び、ここから「パイプ鉱床」という呼び名が付きました。

 

大規模に採掘が行える半面、崩落などの危険性も高いことから、近年ではあまり行われなくなりました。

漂砂鉱床

「漂砂鉱床」のイメージ画像

近年、パイプ鉱床から徐々に切り替わっている方法が、「漂砂鉱床」です。別名「堆積鉱床」とも言われます。

 

パイプ鉱床と同じく広範囲を採掘可能で、尚且つ危険性も低いこの漂砂鉱床はもっとも新しい採掘方法です。

 

火山で円筒状に残ったパイプ鉱床から、長い年月を経て風化や浸食によりキンバーライトが河川に流出し、堆積して川床や川岸に鉱床を形成します。海へ流れ出たキンバーライトは海岸に打ち寄せられ堆積し、鉱床を形成します。

 

これらキンバーライトの漂砂(堆積)に着目した採掘方法が漂砂鉱床です。

ダイヤモンド原石3種

ダイヤモンド原石の中でも高品質で宝石に用いられる3種類をご紹介します。

ソーヤブル

「ソーヤブル」のイメージ画像

ダイヤモンドの原石の中で最も希少性が高い、最高品質の原石がソーヤブルです。

 

形は多くが正八面体です。原石のうちでソーヤブルに区分されるのは全体のわずか20%で、主な産地がロシアやアフリカのナミビアです。

 

ソーヤブルを英語にすると「sawable(saw-able)=のこぎりなどで切ることができる」という意味で、その名の通りカット(研磨)次第では極めて美しいダイヤモンドになります。

メイカブル

「メイカブル」のイメージ画像

メイカブルはソーヤブルに次いで品質の高い原石です。

 

メイカブルを英語にすると「makable(make-able)=作ることができる」という意味で、「宝石用として使える」といったニュアンスになります。

 

原石の形が不規則で、ゴツゴツしていたり、中には曇りがかっているものもあるため、原石ごとに適切な加工の見極めが必要となります。そういった意味では、職人の腕が一番試されるのがこのメイカブルです。

ニアージェム

「ニアージェム」のイメージ画像

ニアージェムは英語にすると「near gem=宝石に近い」という意味ですが、品質は工業用ではないけれど、宝石用としては低品質な原石になります。

 

インクルージョン(内包物)があり、透明度が低いものが多いためレーザードリルホール(LDH)などの処理が必要な場合があります。

 

 

レーザードリリング ― これには、レーザ光の細い集束ビームで焼くことでダイヤモンドの表面から暗色インクルージョンに到達する管をつくることが含まれます。 通常この処理の後、管の中に強制的に化学物質を入れ、そのインクルージョンを溶解しあるいはその外観を改変します。

引用 GIA「宝石の処理について」

 

処理の有無は鑑定書に記載されますので、ダイヤモンドの評価は下がります。

 

ですが、処理によってダイヤモンドの美しさは改善していますので、リーズナブルなダイヤモンドジュエリーを探している方にはおすすめしたい原石がニアージェムです。

ダイヤモンド原石の形5種

前述の方法で採掘されたダイヤモンドの原石は、品質によって選別され、さらに形によっても5種に分類されます。原石の形の個性を最大限に活かしながら、できるだけ原石ロスの少ないそれぞれに相応しいカット(研磨)を行っていくのです。

 

では原石の形5種をご紹介します。

ストーン

「ストーン」のイメージ画像

画像引用 One Heart「ダイヤモンド原石とカット」

 

ストーンは正八面体の形をしています。

 

結晶も規則正しく、熟練の職人によってカットされれば極めて美しいダイヤモンドになります。

 

主に「アイディールカット(理想的なカット)」として名高い「ラウンド・ブリリアント・カット」に用いられます。

 

関連記事:ダイヤモンドのカット|光をつかまえる方法とカットの種類

シェープ

「シェープ」のイメージ画像

画像引用 One Heart「ダイヤモンド原石とカット」

 

シェープは、ストーンに近い形ですがやや不規則で形状にばらつきがあります。

クリーベッジ

「クリーベッジ」のイメージ画像

画像引用 One Heart「ダイヤモンド原石とカット」

 

クリーベッジはシェープよりさらに形状が不規則です。

 

凹凸のあるいびつな形をしています。「クリーベッジ(Cleavage)」とは宝石については「へき開」という特定の方向に割れやすい性質を意味しますが、原石の形についてのクリーベッジは「割れた・不一致の」という原石の状態を表します。

マクレ

「マクレ」のイメージ画像

画像引用 One Heart「ダイヤモンド原石とカット」

 

マクレは三角形で薄い形状です。

 

多くがハートシェイプカットや、三角形のトリリアントカットに用いられます。

クラット

「クラット」のイメージ画像

画像引用 One Heart「ダイヤモンド原石とカット」

 

クラットは薄い板状の形をしています。

 

多くが長方形のバゲットカットや台形のテーパーカットに用いられ、メインの宝石を引き立たせる脇役としてのダイヤモンドになります。

原石は地球からの預かり物

「原石は地球からの預かり物」のイメージ画像

ダイヤモンドの原石は地球が悠久の時をかけて育んだ奇跡です。人類はそれを、時には命がけで採掘し、分類し、修練によって身に着けた技術で、美しく生まれ変わらせてきました。

 

職人たちは原石を決して無駄にすることはありません。カットする際はまず、1番目に原石の形に合わせて大きく取れるカットを行います。さらに残った原石で2番目、3番目と小さなルース(裸石)に仕上げていくのです。当然、カット時にでる削りカスも全て回収し、再利用しています。

 

「ダイヤモンドは永遠の輝き」この言葉が表すように、美しく仕上げられたダイヤモンドジュエリーは、人から人へと代々受け継がれてゆきます。その意味ではダイヤモンドは地球からの贈り物であると同時に「預かり物」でもあります。

 

ダイヤモンドの語源「adamazein(誰にも征服できない)」を考えるならば、人も遠い未来、ダイヤモンドを地球に還す時が来るのかもしれません。

 

時にはそんな壮大なスケールに想いを馳せながら、ダイヤモンドを見つめてみるのはいかがでしょうか。

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