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一口に「真珠」と言っても、真珠には様々な種類があります。今回は数ある真珠の中でも、「コンクパール」という真珠をピックアップし、その魅力や市場価値について詳しく解説していきます。
コンクパールとはどんな真珠のことを指すのか気になっている人は、ぜひ今回の記事を参考にして下さい。
目次
奇跡の真珠「コンクパール」とは
出典元:https://www.conch-pearls.de/en/the-conch-pearl-page2/
コンクパールとは、「奇跡の真珠」という異名を持つ、世界的に見ても大変価値のあるピンク色の真珠です。「ピンクガイ」という大型巻貝からごく稀に採取され、採取確率は10000分の1~15000分の1という、非常に高い希少性を持つことで知られています。
カリブ海やフロリダ南西海域の美しい海で育まれたコンクパールは、その希少性と美しさから、かつてはヨーロッパの王族達に深く愛されていました。今もなおその美しさを損なわないコンクパールは、現在では年齢や国籍を問わず、世界中の女性達の心を惹きつけています。
「火焔模様」と呼ばれる炎のような模様が見られるものは特に希少性が高く、コンクパールの中でも「最上級」と言われています。コンクパールとは、滅多に出会うことのできない、母なる海からの最上の贈り物と言えるでしょう。
コンクパールの養殖について
「コンク」とは「巻貝」のことを指しますが、巻貝はその複雑な形状から「養殖は不可能」と言われてきました。しかし、幾度の失敗を重ねた結果、2009年に初めて「有核真珠」と呼ばれる貝殻を入れる部分、また真珠を形成させるために必要な「無核真珠」という部分の双方の養殖に成功し、ついにコンクパールの養殖に成功したという報告がGIAより発表されました。
しかし、現在市場に流通しているコンクパールの大多数は天然産であることなどを考慮すると、コンクパールの養殖品が市場に出回るのはまだ当分先のことであろうことが予想されます。
コンクパールはワシントン条約の規制対象
コンクパールの母貝である「ピンクガイ」は、食用貝としての利用な主であり、かつては需要と供給のバランスが保たれていました。しかし、近年では珍しい食材としてアメリカや中国からの需要が増え、輸出量が急上昇したために需要と供給のバランスが崩れてしまいました。
その結果、「取引を条約で規制しないと絶滅の恐れがある」という判断が下され、現在ではピンクガイ、コンクパールともに、ワシントン条約の規制対象とされています。
このことからも分かるように、コンクパールとはただでさえ希少価値の高い真珠ですが、近年ではより一層入手することが困難になり、その希少価値はますます上昇しています。
コンクパールの詳細
次はコンクパールの英語名や宝石言葉など、希少価値の高いこちらの真珠の詳細についても見ていきましょう。
【英語名】Conch Pearl・Pink Pearl
【和名】コンク真珠・ピンク貝真珠
【宝石言葉】純潔・健康・長寿
【産出国・産地】バハマ海全域(※生息地はバミューダ諸島〜フロリダ州南部、西インド諸島、メキシコ湾、カリブ海全域)
【化学成分】 CaCO3
【硬さ(モース硬度)】 2.5-4
【色の種類】赤系・ピンク・白・淡黄・オレンジ・褐色
【誕生石】6月(※パール全体として)
【意味】長寿、蓄財、健康、家庭の幸福、繁栄、幸運
コンクパールと普通のパールの違いとは
コンクパールとは真珠の一種ですが、普通のパールが二枚貝から採取されるのに対し、コンクパールは巻貝から採取されます。そのため、コンクパールは普通のパールとは特徴や特性が大きく異なります。
貝は内部に異物が侵入した際、身を守るために「外套膜」という外殻と同成分の、タンパク質を出して異物を包み込みます。この膜が異物の周りに幾重の層を作ることで「真珠層」が出来上がり、これが普通のパールの正体とされています。
一方巻貝の場合は、この「真珠層」が小さなピラミッド状の突起がひしめき合っているような構造でできているため、普通のパールとは層の造りが大きく異なります。
肉眼ではこの層の細かな違いは確認できません。しかし、真珠層の構造が異なることにより、普通のパールでは「オリエント効果」と言われる虹色の光沢が見えるのに対し、コンクパールでは「火焔模様」と言われる炎のような独特な模様を楽しむことができるのです。
コンクパールの価値や評価基準
コンクパールの中でも特に価値が高いと判断されるパールの評価基準は、下記の通りです。
- ●0.5ctを超える重さのもの
- ●いちごミルクを思わせるような濃い色のもの
- ●火焔模様が肉眼でもはっきり見えるもの
これらの特徴を持つコンクパールは、通常のコンクパールよりさらに希少性が高く、滅多にお目にかかることができません。それ故に非常に価値が高く、条約により入手が制限されている昨今においては、今後さらに高値を更新していくことが予想されています。
コンクパールの市場価格
コンクパールの実際の市場価値はどれくらいになるのでしょうか。
コンクパール単体の市場価値は通常10万円前後ほどと言われていますが、サイズが小さいものであれば数千円〜購入できるものもあります。
また、色が濃く火焔模様がしっかりと確認できるもの、さらにサイズも大きいものになると、100万円以上の市場価値があるものも少なくありません。
コンクパールの購入先
コンクパールは中古ジュエリーを販売しているお店や、ネットショップを利用するのが主な購入方法です。
ただし、オンラインショップを利用する場合は実物を見ずに購入することになるため、購入前の事前調査が必要不可欠です。購入者の口コミを見る、お店の情報を詳しくリサーチするなど、信頼の置けるショップかどうかをある程度見極めてから購入するようにしましょう。
また、信頼の置ける鑑別期間の鑑別書が付属しているかどうかをチェックすることも、偽物の購入を防ぐための重要なポイントのひとつです。
コンクパールの偽物に注意
コンクパールの母貝は、シェルの色がコンクパールと同じように鮮やかなピンク色であるのが特徴です。そしてこのピンク色部分だけを上手に研磨して、コンパクトパールのように仕立てた模造真珠が一部で流通していることが確認されています。
母貝を使った模造真珠に火焔模様が見られることはありませんが、実際のコンクパールも顕微鏡などを使わない限り火焔模様が見えないものがほとんどです。
一見見分けが付かないものもあるので、コンクパールの購入時には偽物を購入することがないよう、十分に注意しましょう。
まとめ:一度は肉眼で眺めてみたい真珠「コンクパール」
コンクパールとはなかなかお目にかかれない希少な真珠ですが、もし肉眼で眺める機会があった場合は、その美しさから思わず「欲しい!」と思ってしまう人もいるでしょう。
実際に購入する場合は、この記事で紹介したようなコンクパールの特徴や購入時の注意点をしっかりと把握した上で、偽物を購入してしまわないよう気をつけて下さい。