希少金属のパラジウムとは?用途や特徴など

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金・プラチナ

パラジウムという金属をご存じでしょうか?

金やプラチナと比べて馴染みのない金属なので、パラジウムという言葉を初めて聴くという方も多いかもしれません。

「パラジウムとは何?」という方もきっと、意外な用途に驚くと思います。

今回は謎多きレアメタル、パラジウムについて、用途・性質から、その希少性についてお話していきましょう。

パラジウムとは?

パラジウムとは白銀色の金属で、原子番号46元素記号はPdです。

化学的に安定しており、展延性に富むという金にも似た性質を持ちます。

見た目はプラチナに非常に似ていますが、同じプラチナ系の貴金属であり、発見のきっかけは1800年ごろにイギリスの化学者がプラチナ鉱石からパラジウムとロジウムを抽出したことでした。

パラジウムは一般的な貴金属と異なり、産出がプラチナなどの副産物としての回収になるため、希少性は金やプラチナ以上です。

産出国も限られ、ロシアと南アフリカで全体の8割以上を占めます。

パラジウムの性質や特徴

パラジウムの特徴としてまず、融点が低いことが挙げられます。

鉄と同程度の1555℃です。これにより加工がしやすいことから、これまで挙げたように幅広い用途で使用されています。

パラジウムの性質としては自身の体積の935倍もの水素を内部に吸着できることがあります。

また人によっては金属アレルギー反応が出る場合もあります。装飾品にもパラジウムフリー(=パラジウムが入っていない)のものがありますので、金属アレルギーの方はご注意ください。

パラジウムの用途

普通に生活しているとほぼ耳にすることのない「パラジウム」ですが、意外と身近なところに使われています。

まずはパラジウムがどんな使われ方をしているのか見ていきましょう。

装飾品

貴金属、主に金やプラチナの強度を高めるための割金としてこのパラジウムが使われています。

なぜ強度を高めるのかというと、純金(k24)や純プラチナ(Pt999)はそれ単体だと非常に柔らかく、「傷が付きやすい・加工がしにくい」というデメリットがあるからです。

金属の硬さの基準にビッカース硬度(Hv)がありますが、純金(k24)はHv25前後、純プラチナ(Pt999)はHv50前後です。比べてパラジウムは純度99%(Pd990)でHv200にもなります。

金やプラチナを装飾品として使うためには、加工のしやすさや傷の付きにくいことが重要ですので、パラジウムなどの割金を混ぜて硬度を高めたり、またカラーのバリエーションを増やしたりしているのです。

電子部品

電子回路の基本となるコンデンサという電子部品に、パラジウムが使われています。

コンデンサは電気を蓄えたり放出したりするのが特徴で、冷蔵庫・洗濯機・パソコン・スマートフォンなど身近な製品に用いられています。

パラジウムは高価なため、代替金属としてニッケルへの移行も進んでいます。

自動車用触媒

自動車(ガソリン車)の排気ガスを浄化する装置に、パラジウムが使われています。

パラジウムを触媒として使うことで、排気ガス中の有害な炭化水素を水へ、一酸化炭素を二酸化炭素へと、変換することができます。

銀歯

歯医者さんの治療で使われる銀歯の素材にパラジウムが用いられています。

銀歯の正式名称は「歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金」と呼ばれ、金12%、銀50%、パラジウム20%、銅16%、その他の金属2%という配合です。

意外ですが銀歯にも金が使われているんですね!

ここでもパラジウムは銀歯の強度を高める役割を果たしています。

架空世界の動力源(おまけ)

映画「アイアンマン」で主人公のトニー・スタークが開発したパワードスーツの動力源に、パラジウムを触媒とした動力源が使われています。

最終的にはヴィブラニウム(架空の金属)に変更されましたが、パラジウムは夢のある金属なんですね!

もちろんこの夢の動力「アークリアクター」は現在の科学力で作ることは不可能です。

パラジウムの希少性

2020年9月現在、パラジウム相場が高騰中です。

2017年では買取価格が約3,000円/gでしたが、2020年9月上旬で8,000円/gまで上がっています。

これは高い需要に対して、見合った供給がないためです。

現在のパラジウム需要の大半は、排気ガス浄化のための触媒の用途です。世界各国で自動車による排気ガスを規制する動きが強まり、多くの自動車メーカーは浄化システムに使用するパラジウムを必要としているのです。

対して供給はというと、パラジウムの主な産出地がロシアと南アフリカで、年間産出量はおよそ200トンと金の10分の1以下です。

こういった点から、パラジウムはまさに「レアメタル(希少金属)」といえるでしょう。

今回は耳慣れないけど私たちの生活を支える縁の下の力持ち、パラジウムの謎に迫ってみました。

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