ダイヤモンドの種類|人工から天然まで4種を解説します

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ダイヤモンド

いつの時代も、その圧倒的な輝きで人々の心を捉え続けてきたダイヤモンド

誰もが憧れ、その煌めきにとらわれる「ダイヤモンド」ですが、実は天然の物だけでなく作られたダイヤモンドも存在します。人工的に作られたダイヤモンドは大きく分けて、「模造ダイヤモンド」「人造ダイヤモンド」「合成(人工)ダイヤモンド」の3つの種類に分けられます。

どれも一見同じに聞こえますが、すべて異なる特徴を持っています。

その違いとはどのようなものなのでしょうか。また、天然のダイヤモンドとの違いはどこにあるのでしょうか。

ダイヤモンドとはどんな宝石?

ダイヤモンドの眩い煌めきは、女性はもちろん歴史に名前を残す権力者たちも惹かれてきました。自然界の中で最も硬い鉱物と言われる「ダイヤモンド」は、ギリシャ語で「adamas 決して屈しない」という言葉に由来して名前が付けられ、日本では「金剛石」と呼ばれています。

また、4月の誕生石として知られ、誕生石としての石言葉は「永遠の絆」「純潔」「不屈」であり、ダイヤモンドの特質である「最も硬い鉱物である」という点と、石言葉から「永遠の愛」を誓う石として、エンゲージメントリングやマリッジリングに使われる宝石として有名です。

種類1,天然のダイヤモンド

なぜ、天然のダイヤモンドは高価なのでしょうか。

それはその産出量によります。鉱山で採掘されるダイヤモンドの中から宝石用とされるのは、ほんのわずかな量のみ。80%は宝石として加工できないもので、工業用として使用されているのです。例えば、1カラット、約0.2グラムのダイヤモンドを見つけるために、約4トンもの原石の採掘が必要です。希少だからこそ、天然のダイヤモンドは高価なのです。

天然のダイヤモンドは、GIA(アメリカ宝石学協会)が考案した「4C」に沿って、「カラット(重さ)」「カット(研磨)」「カラー」「クラリティ(透明度)」の4つの面から品質を評価されます。その他、内包物や蛍光性等を確認し鑑定され、鑑定書が作成されます。

種類2,模造ダイヤモンド

模造ダイヤモンドは色や外観、質感などの見た目のみダイヤモンドに似せて作られたもの。ダイヤモンド類似石とも呼ばれます。

代表的なる「模造ダイヤモンド」には、水晶やガラス、プラスチック、セラミック、ラインストーンなどが使用されている他、タブレットやトリプレットと呼ばれる、色ガラスやプラスチックの上に薄く天然石や合成石を貼り合わせ、作られたものもあります。

なお、水晶をダイヤモンドの模造品として扱っていた時の名残で、イギリスでは今でも「ダイヤモンド」と並んで「水晶」も四月の誕生石とされています。

身近な模造ダイヤモンドであるラインストーンは、クリスタルガラスで作られ、それにカットを施してダイヤモンドに似せてあります。石の裏面に、金属の箔や着色された薄い膜を貼り、光の反射を増幅させ、さらにダイヤモンドに似た輝きを出す製品もあります。

現在では、さらに安いアクリル樹脂を利用したラインストーンも一般的であり、クリスタルガラスに比べると安くて軽い仕上がりとなります。クリスタルガラスを利用したラインストーンでは、スワロフスキー社の製品が有名です。

模造ダイヤモンドもそのカットにより光を受けるとキラキラと光りますが、その輝きはダイヤモンドと比べると圧倒的に小さく、鑑定士や宝石商は目視検査や測定機器により容易にその違いが分かります。

種類3,人造ダイヤモンド

ダイヤモンドの代用品として、人工的に作り出されたものを指します。色や輝きなどの見た目はダイヤモンドによく似ていますが、その化学組成はダイヤモンドとはまったく異なります。

モース硬度も8-8.5と高く、ダイヤモンドを通る白色光がスペクトルの虹色に分散された時に生じるファイアーが天然ダイヤモンドより強く、天然のダイヤモンドと比べてより虹色にキラキラと輝きます。

代表的な人造ダイヤモンドはキュービックジルコニア(CZ)です。キュービックジルコニア(立方晶ジルコニア)は、ジルコニアに安定剤を加えて作られたものであり、それに金属元素を添加するとさまざまな色を出すことも出来るので、カラーダイヤモンドを作ることも容易です。キュービックジルコニアは、ブリリアントカットを施すと屈折率が天然のダイヤモンドと非常に近く、肉眼で見てそれと見分けるのは困難です。ルーペを使いカットや内包物を確認し、さらに鑑別機器を利用して見分けます。

キュービックジルコニアは製造原価がとても安く、輝きは天然のダイヤモンドに負けないほどきらめくので、気軽にダイヤモンドの輝きを身に着けたいときなどに利用できます。

しかしながら、店頭で「CZダイヤモンド」という名前で販売されていることがあり、ダイヤモンドと書いてありますがこの場合、「ダイヤモンド」ではなく「キュービックジルコニア」なので、購入時には注意が必要です。

種類4,合成(人工)ダイヤモンド

合成ダイヤモンドは、天然のダイヤモンドと見た目だけでなく、硬さや光沢、結晶構造、科学的組成、屈折率、ファイアーなどその他の特性までまったく同じものです。違いといえば、自然が生み出した天然石ではない、ということだけになります。

近年ではアメリカのゼネラル・エレクトリック社が作り出した合成ダイヤモンドは特に完成度が高く、天然のダイヤモンドとの識別は非常に難しいとされています。

なぜなら、その製造方法が違うだけで、どちらも同じ「ダイヤモンド」であるからです。

合成ダイヤモンドの製造方法はいくつかありますが、宝石として利用できる大きさの石を作れるのは、「高温高圧法(HPHT)」と「化学蒸着法(CVD)」の二つになります。「高温高圧法(HPHT)」は、自然界のダイヤモンドと同じように炭素に高温と高圧をかけて作られます。「化学蒸着法(CVD)」は炭素を含むガスを分解し、まるで雪が降り積もるように薄く積み重ねて作られます。

天然ダイヤモンドとまったく変わらない合成ダイヤモンドは、天然ダイヤモンドの半値ほどで購入可能なこともあり、注目を集めています。

2018年には天然ダイヤモンドの世界最大手である「デビアス」が、合成ダイヤモンドを取り扱う新ブランドの立ち上げを発表しました。近年では天然ダイヤモンドと異なり、その産出方法に「環境破壊」「児童労働」「紛争ダイヤ」などの問題を伴わないために、海外のセレブを中心に人気を集めています。

日本でも2018年に「株式会社今与」が「SHINCA」というブランドで合成ダイヤモンドを発売し始めました。今後、資産価値としてではなく、ファッションとしてのダイヤモンドとして、合成ダイヤモンドは、需要を伸ばしていくに違いありません。

まとめ

いかがでしょうか。ダイヤモンドには大きく分けて

●自然界から産出された「天然のダイヤモンド」

●ダイヤモンドに見た目を似せたガラスやアクリル樹脂の「模造ダイヤモンド」

●キュービックジルコニアに代表される、見た目は似ているけど化学的組成など中身がまったく違う「人造ダイヤモンド」

●見た目も中身も天然のダイヤモンドとまったく同じ。産出方法が研究所で人為的に作られた、という違いの「合成ダイヤモンド」

の4つの種類に分けることが出来ました。

ダイヤモンドの輝きは、いつの時代も女性の憧れです。上手に使い分けて、その美しい輝きをシーンやファッションに合わせて身に纏えるようになりたいですね。

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