宝石珊瑚と言えば、赤やピンクの色どりで有名ですが、一部の海域で採取されるレアな珊瑚が白珊瑚。
市場に出回ることも少なくあまり知られていませんが、大変希少なため高値で取引されます。
また天然の白珊瑚とは異なり、サンゴ礁を形成するサンゴが白くなってしまう白化という現象も。
今回は宝石珊瑚でも珍しい白珊瑚の意味、そしてサンゴ礁白化の原因などについてお話していきます。
宝石サンゴと造礁サンゴとの違い
ひとくくりに「サンゴ」と言っても、白珊瑚や赤珊瑚などの宝石サンゴと、サンゴ礁を形成するサンゴとは全くの別物。
白珊瑚を始めとする宝石サンゴは、日光の届かない水深100m以上の深海に生息し微小な浮遊物を捕食してゆっくりと成長します。
そのため採取が難しく、日本でも江戸時代の終わりになってようやく一部の地域でサンゴ漁が始まりました。
対してサンゴ礁を形成する造礁サンゴは餌となる植物プランクトンに光合成が必要なため、太陽の光が差し込む暖かい浅瀬に生息し、種類によっては1年間で10cm近く成長します。
白珊瑚の意味
白珊瑚は、宝石サンゴの中でも希少価値が高く、日本や台湾の近海、東シナ海からベトナム近海までの中部太平洋で主に産出されます。
実際の色合いとしては薄い桃色~乳白色のものが多く、純白の白珊瑚は非常に珍しく高い価値を誇ります。
そんな白珊瑚には
・幸運を長続きさせる
・危険予知能力を高める
・家族運を高める
・理想と現実のギャップを埋める
・心の傷を癒す
などの意味を持ちます。
自然が育んだ宝石ですので、明るく生命力ある意味が多いようです。
造礁サンゴの色は褐虫藻の色?
ここからはサンゴ礁を形成する造礁サンゴ(以下サンゴ)のお話。
サンゴにはオレンジやピンク、赤などのきれいな色があります。ですが、実はその色はサンゴそのものの色ではないんです。
サンゴが生きるためには、光合成を行い栄養素を作り出してくれる「褐虫藻」という植物プランクトンの存在が必要不可欠。
通常この褐虫藻はサンゴの体の内部で共生していて、褐虫藻が生きているからこそ、サンゴが存在するというわけです。
この褐虫藻はとても綺麗な色を出します。この美しい色によって、サンゴをもきれいな色に染めているのです。つまり、サンゴの鮮やかな色は、褐虫藻の色を映し出しているということなのですね。
サンゴの白化はなぜ起こる?
サンゴが美しい色をしているのは、一緒に住んでいる褐虫藻がいるからとわかりました。
ではなぜ、サンゴが白く変化してしまうのでしょうか?
サンゴの白化には、海水温度や紫外線の変化、塩分濃度の変化、生態系の破壊などが影響しているといわれています。サンゴはストレスを受けやすい性質なので、これらの環境の変化によって白化を引き起こしてしまうわけです。
白く変わってしまう原因としては、褐虫藻が深く関わっています。サンゴは褐虫藻と共生することで酸素や栄養分を取っているので、褐虫藻がいなくなるともちろんサンゴは死んでしまうことに。この褐虫藻がいなくなることでサンゴの白化現象が起こっているというわけです。
では、なぜ褐虫藻がいなくなってしまうのでしょう?考えられる主な原因は3つあります。
①水質汚染
数年前から問題視されているのが海の水質汚染です。
海にゴミや廃棄オイルなどを流している悪い人が絶えず、環境破壊も恐れられています。サンゴはきれいな海でしか生息できないので、水質が汚染されてしまうと過度なストレスを感じてしまい、これまで一緒に住んでいた褐虫藻をも追い出してしまいます。
サンゴは褐虫藻がいなくなれば生きていけませんから、白く白化し死んでゆきます。サンゴはほかの生物よりもとても敏感で、人間と同様ストレスを感じやすい生き物なのですね。
②地球温暖化
近年世界的に問題視されているのは「地球温暖化」です。
地球温暖化によって水温が年々高くなっていることで、プランクトンが異常発生し、光合成を妨げることになってしまいます。褐虫藻は光合成できなくなると光を求めて別の場所へ移動してしまい、サンゴから離れていくのです。
褐虫藻が体内にいなくなったサンゴは、酸素や栄養補給ができなくなり、サンゴの軸である石灰部分だけ残り、白く変化してしまうという仕組みです。地球温暖化は地上だけでなく海水の生物にも大きな影響を与えてしまう深刻な問題なんですね。
③自然災害
自然災害によって淡水が流れこんだり、偶然にも土砂が流れ込むこともあります。
サンゴはストレスに敏感な生き物なので、こういった災害によってもすぐ体が反応し、褐虫藻を追い出してしまう原因となってしまいます。
サンゴは褐虫藻だけでなく様々な魚や貝の住みかにもなるため、サンゴが死んでしまうことで、海の生き物のうち4分の1が生きていけなくなるといわれています。
まとめ
今回は白珊瑚の意味や、サンゴ礁が白化する原因についてお話しました。
サンゴ礁の白化についてはかなりスケールが大きいことなので、私たちにはどうすることもできない…と思ってしまうと思います。
ですが、地球温暖化はもともと人間が招いたことです。他人事と思わず、自分ができることから行ってみてはいかがでしょうか?
例えば、
・節電する
・ゴミは分別して指定の場所に捨てる
・料理に使った油などは水に流さない(固形にして捨てる)
・車のいらない距離であれば自転車をつ使う
・運転中は少しでもアイドリングストップ など。
これらは地球温暖化や水質汚染の対策になるので、サンゴだけでなく他の色んな植物、生物を助けることにも繋がりますよ。美しいジュエリーだけに目を奪われるのではなく、こういった厳しい現状もきちんと理解した上でオシャレを楽しむことができることが一番の理想ですね。