古くから女性に親しまれているジュエリー、珊瑚(コーラル)。真っ赤でエレガントなものから、ピンクのかわいいものまで、色んな種類が存在していますよね。
珊瑚(コーラル)の宝石は海に生息している“珊瑚礁”からできているということはご存知かと思いますが、一体どんな生活をしているのか気になりませんか?
そこで今回は、珊瑚(コーラル)がどのようにして生活しているのか、その生態系について紹介します。
目次
珊瑚(コーラル)ってそもそも何?
珊瑚(コーラル)は「海に住んでいる植物」といったイメージが強いかと思いますが、実はなんと「動物」という生態系に含まれます。
食物を食べ、排泄もするんですよ。この動物はクラゲやイソギンチャクなどと同じ腔腸動物という分類に入ります。
見た目は岩のようにゴツゴツしていますが、これは珊瑚(コーラル)が外敵から体を守るために石灰質の〝骨格”を作ります。
この骨格を広げていきながら個体の数を増やしていくことによって岩のような見た目になるのです。
ポリプと呼ばれる個体が分裂して群体を作る特徴があるので、一つの個体には数百~数万の個体が集まっています。
種類によって見た目の違う骨格を作り、その種類はなんと約800種類。
特に沖縄には約200種類の珊瑚(コーラル)が確認されていて、世界でも珊瑚(コーラル)の数が多い地域といわれています。
形はキャベツのようなものから枝状、テーブル上などさまざまで、どれも色鮮やかで美しいのが特徴です。
珊瑚(コーラル)の暮らし方
珊瑚(コーラル)は、ひとつの家に集まって暮らしています。まるでハチがハチの巣で生活するようですね。
でも珊瑚(コーラル)は一度家を作ると、離れることなくずっとそこで暮らすことになります。
珊瑚(コーラル)のご飯はプランクトンです。流れてきたプランクトンを触手でつかみ取り食べています。
排せつするときも同じ口から排泄します。
産卵するときも同じ口から行うので、すべてこの口で行うということですね。
珊瑚(コーラル)には褐虫藻が必要
珊瑚(コーラル)は動物ですが、自分で動いで餌を捕獲することはできませんよね。
そこで珊瑚(コーラル)は、自らの体の中に「褐虫藻」といわれる海藻を取り入れ、褐虫藻が光合成した酸素や栄養分をいただいているということなんです。
ちなみに珊瑚(コーラル)の色が鮮やかなのは、この褐虫藻の色が透けているからです。珊瑚(コーラル)はもともと白色です。驚きですね。
また、この褐虫藻がなくなってしまうと珊瑚(コーラル)はいずれ死んでしまいます。生き延びるためには褐虫藻との関係は切れないということです。
産卵の仕方
珊瑚(コーラル)は動物なので、産卵も行います。
触手にある丸い生物のなかに、約20個くらいの卵が入っています。このカプセルを産み落とした後、カプセルたちは水面にゆっくり上がっていき、割れた中から卵が出てきます。
この時は、水面が赤く染まる幻想的な瞬間。ダイビング中に観ることができたらかなりラッキーです。
珊瑚(コーラル)の敵は?
生きていれば敵も現れるのが当然。珊瑚(コーラル)にも危険な敵が存在しています。
その名は「オニヒトデ」「ブダイ」などです。最近オニヒトデが大量発生していることで、ほとんどの珊瑚(コーラル)が食べられてしまうという深刻な状況となっています。食べられた後は白い骨部分だけが残り、なんとも無残な姿に…。
ブダイという魚は、珊瑚(コーラル)のポリプ部分をがっつり食べます。ですが、食べ残しの部分は砂のようになり、珊瑚礁に積もります。
その後長い年月をかけて海の中の砂となるため、砂地に住む生物にとってはありがたい存在なんでしょうか。
珊瑚(コーラル)にはこんな役割も
珊瑚(コーラル)は動物に分類されますが、植物と同じように二酸化炭素を吸収して酸素を作り出す働きをしています。
これは珊瑚(コーラル)の中に住んでいる褐虫藻が行っていて、陸上の生物よりも多くの二酸化炭素を吸収してくれるのです。
珊瑚(コーラル)には海を浄化する役割だけでなく、ほかの生物の生態系を守り、地球にとっても大きな役割を果たしているんですね。
珊瑚(コーラル)はきれいな海でしか生きられない
珊瑚(コーラル)はとても敏感な生き物で、水温の上昇や紫外線の影響などで死んでしまうこともあります。
これは地球温暖化や水質汚染が原因ともいわれていて、それを作り出したのは私たち人間です。生活排水による水質汚染、ゴミの放棄など、珊瑚(コーラル)にとっては人間が一番の敵なのかもしれません。
透き通るような地球本来の海でこそ、珊瑚(コーラル)がのびのびと育つ環境だということがわかりました。
珊瑚(コーラル)のジュエリーを身に着けるうえで、こういった自然のありがたみを大切にすることも大事だと感じます。