ロマンを追うユリスナルダン。超複雑天文時計が生まれた歴史を辿る。

作成日:2018年10月12日
最終更新日:2021年06月15日

ユリスナルダン

ユリスナルダン時計画像
スイスのル・ロックルで誕生した時計メーカー「ユリスナルダン」。

誕生した1846年頃のル・ロックルは、単なる谷あいにある田舎町でした。現在では時計産業の聖地として知られる街ですが、このル・ロックルに本格的に時計産業を根付かせたのが、ユリスナルダンと言われています。

芸術品とも言える美しい仕上げはもちろんのこと、卓越した技術によって作られる超精密腕時計は、数々の賞を受賞したり、ギネスブックに記録されたりするなど、世界的にも別格の地位として君臨しているのです。しかし、現在のようにユリスナルダンの人気が確立しているのには、類まれな努力と他にはない独自のアイデンティティがあったからなのです。

今回は、ユリスナルダンの歴史を辿りながら、色褪せない名作品たちをご紹介していきます。

23歳で設立。マリンクロノメーターを誕生させる

時計の画像
創業者のユリスナルダンは、19世紀の時計産業に活躍していた時計職人「レオナルド・フレデリック・ナルダン」の息子として生まれました。

他に類を見ない高精度の時計作りを標榜していたユリスは、天文学や船舶などの正確な時間測定が必要な分野に向けての時計制作に取り掛かり、1846年、彼が23歳の時に自らの名を冠したユリスナルダンを設立。

海で航海するときには、東西南北を正確に測定する必要があるのに対し、当時発明されていたマリン・クロノメーターはどれも完全とは呼べないものばかりでした。

大航海という大きなスケールで時計作りを行うことは、職人にとっても大きなロマンだったのです。

そんな中、彼が発表したマリン・クロノメーターは、他の追随を許さないほどの正確性に優れるものでした。1862年ロンドンで開催された世界博覧会では優勝メダルを獲得するほど、彼の高い技術力が認められることとなりました。

世界の海軍がユリスナルダンを採用

船の画像
18世紀後半から19世紀にかけて、船舶用の時計「マリン・クロノメーター」は、ユリスナルダンが市場を独占するほどの成功を収めました。

50か国もの海軍がユリスナルダンのマリン・クロノメーターを正式に採用しており、これは世界の軍艦のほとんどがユリスナルダンの製品に頼っていたことになります。

また、日本でも日露戦争時代につかわれた戦艦には、ユリスナルダンのクロノメーターが積まれていたそうです。

正確な時刻や方角を測る天文学に優れていたユリスは、実用性や正確性が重視される軍隊の世界においても成功を収めたのです。

日本「SEIKO」の発明の裏にもユリスナルダンが!

ユリスナルダン時計画像
1942年、今や日本を代表する高性能時計メーカー「SEIKO」は、日差0.1秒という驚異的な精度のマリン・クロノメーターを開発。これは戦前の時計産業の発展ぶりが分かる話ですが、実はこのマリン・クロノメーターは、ユリスナルダンを研究しつくして完成したモデルなのです。

世界のSEIKOとまで呼ばれるまでには、時計製造の目標をユリスナルダンにしていたという話は有名です。

しかし、SEIKOは精密なクオーツ式時計を普及させたことにより、世界の機械式時計は経営危機となってしまいます。スイス生まれのユリスナルダンも例外ではなく、「クォーツショック」に陥ることとなります。

クォーツショックからの復活!天文三部作の発表は世界にロマンを与えた

時計画像
19世紀後半、スイスの時計産業を震撼させたのが「クォーツショック」。
数多くの名門時計メーカーも衰退していく中で、ユリスナルダンもその危機にさらされました。

しかし、時計に発展に大いなる影響を与えたユリスナルダンは、投資家により買収されることにより、更なる時計産業を切り開く機会を得ることができたのです。

1985年、クォーツショックからの復活といわれる歴史的発明が発表されたことにより、ユリスナルダンは世界の時計産業のトップへと復活を果たすことに。

その発明とは「アストロラビウム・ガリレオ・ガリレイ」という天文腕時計です。

標準時・地方時はもちろん、黄道十二宮、日食、不定時法の時間の測定などをリューズひとつで調整できてしまうという、なんとも天才的な超複雑時計なのです。

このガリレオガリレイは、ギネスブックに登録されている唯一の腕時計としても知られており、世界の時計マニアや有名メーカーをも唸らせることとなりました。

その後1988年には「プラネタリウム・コペルニクス」、1992年には「テリリウム・ヨハネスケプラー」を次々と発表。天文三部作と称されることとなりました。

アストロラビウム・ガリレオガリレイはコレ!

「アストロラビウム・ガリレオガリレイはコレ!」のイメージ画像

天文三部作の初作。「世界一複雑な腕時計」としてギネスブックの表紙にも掲載されています。

時刻表示のみならず、天文時計としても機能が優れており、それもそのはず、発明者は天文時計の第一人者「ルートヴィヒ・エクスリン博士」を協力して作られたからです。

現在の「月」「星座」が分かるだけでなく、「太陽と月の位置関係」「日の出」「日の入り」「恒星の位置」までもがこの腕時計1本で分かるという奇跡的な仕様となっています。

単なる腕時計としてではなく、宇宙の中を覗くような体験ができるガリレオ・ガリレイは、まさに芸術品とも言える感動があります。

息を飲むほどに美しいユリスナルダンの時計

幻想的な画像
ユリスナルダンは、天文学と高い時計の製造技術によって、時計界を驚かせる名作品をたくさん生み出してきました。

現在のユリスナルダンは、ガリレオガリレイのような天文複雑時計や、実用的で高性能なクロノメーターが搭載されたものまで、バラエティーに富んだラインナップとなっています。

全て機能の精巧さはもちろんのこと、ケースやダイヤル、ムーブメントの仕上げに至るまで、宇宙的で幻想的な美しさを放っています。単なる「古い時計」ではなく、「いつになってもクラシックな時計」として人々から愛され続けることでしょう。

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