1960年に創業して以来、現在は世界のハイブランドとしての地位を確立させているVALENTINO(ヴァレンティノ)。
数々のセレブたちが愛用していることで、ファッショニスタから注目されている存在となっています。言わずと知れたあのケネディ夫人も、ヴァレンティノを愛していたことで知られています。今回は、そんなセレブたちが愛するヴァレンティノの歴史を辿っていきたいと思います。
目次
1932年:創業者ヴァレンティノ誕生
創業者であるヴァレンティノは、1932年イタリア・ヴォゲーラに生まれました。
彼は、絵画や彫刻、建築といったアートに興味を持っていて、高校卒業後もミラノでスケッチの勉強に励んでいました。絵を描くことへの才能は当時から開花していたのです。その後、ファッションにも興味を持ち始め、国際的なファッションデザインコンテストで優勝します。このコンテストでは、今やファッションデザイナー界の登竜門とも言われている代表的なコンテストで、イヴ・サンローランも後に優勝を果たしています。この優勝がきっかけとなり、ヴァレンティノに転機が訪れることとなります。
1950年代:「ヴァレンティノの赤」生まれる
ヴァレンティノには、ファッション界の歴史にも残る「ヴァレンティノの赤」と呼ばれる独自のスタイルがあります。
ヴァレンティノは、この「赤」に対して強いこだわりも持っていました。今やブランドの代表カラーとなっている赤は、ブランドがスタートする前の修行の時に生まれたのです。コンテスト優勝後、ジャン・ドゥッセのアシスタントとして働き始めたヴァレンティノは、バルセロナへオペラを鑑賞しに行きます。オペラを見るまでは、白と黒だけがベストなカラーだ、と思っていた彼は、オペラでの舞台衣装が赤で統一されていたことに衝撃を受け、赤が彼の特別な色として変わったのです。
当時彼がスケッチしていたデザインは、ブランド設立以前にもかかわらず、すでにデザイナーとしての才能を発揮していたことが判明しています。
1960年:ブランド創設とビジネスパートナー
ジャン・ドゥッセの元で働いたのち、1959年についに独立を果たします。
イタリア・ローマにオートクチュールの小さなアトリエを開き、1960年には自らの名前をブランド名として「VALENTINO(ヴァレンティノ)」を立ち上げました。
その創業に携わった一人の人物がいます。それはジャンカルロ・ジャンメッティです。彼は元々建築家志望だったのですが、ヴァレンティノのビジネスパートナーとして、ブランドの成長を目指して支えました。その後、フィレンツェのピッティ宮殿て初めてのコレクションを開いた時、ニューヨークのOバック社と契約を結んだことでビジネスは大成功し、アメリカで評価を高めることとなったのです。
1960年代:セレブたちがブランドを世界に広める
当時ファッションの最前線と言われていたのはフランスでした。そんな中、新しいファッションの時代を切り開くため、ファッション界はイタリアへと方向転換が図られていました。
世界中で数々のコレクションを発表していく中、ヴァレンティノが世界的に注目されるきっかけとなったのが、あのケネディ元アメリカ大統領夫人です。
彼女が着る服は必然的に世界から注目され、ヴァレンティノは創業10年にも満たないうちにブランドの確たる地位を確立させたのです。
当時ファッションの中心であったパリで、イタリアのブランドが認められたのは、ヴァレンティノが最初となりました。そのため、イタリアのファッション界を変えた存在として君臨しています。
現在:人を惹きつける斬新なデザイン
ヴァレンティノは、赤色に特別なこだわりを持っていますが、ブランドの基調となっているのはやはり黒と白。
当時、花柄などの可愛らしいスタイルが主流になっていた中で、ハッキリとした黒と白の大胆なデザイン、大ぶりな柄やストライプは、ファッションの常識を覆しました。ゼブラ柄やヒョウ柄といったアニマルプリントもヴァレンティノの定番デザインとなっています。
ウエストラインがゆったりしたシルエットや、スカートの丈をロングにするなど、当時の流行りをひっくり返すような斬新なデザインを生み出し、まさにファッション界の革新的な存在と言えるでしょう。
また、日本の建築や中世の彫刻などの、あらゆる文化を取り入れたモチーフを発表し、常に他とは違うモダンなデザインで人々を惹きつけます。現在はロックスタッズと呼ばれるスタッズが付いたデザインが定番となり、ラグジュアリ―の中に、ロックさを兼ねたモダンな雰囲気が人気となっています。
成長し続けるヴァレンティノ
ファッション界の歴史を変えた初のイタリアブランド、ヴァレンティノ。
今でもなお、常にモダンなデザインへと進化し、新しいブランドにも負けないほどの存在感を放っています。イタリアではグッチやプラダなどの有名ブランドが存在していますが、クチュールブランドとしてはヴァレンティノに勝るものは居ないといわれています。これから成長し続けるヴァレンティノは、今後もファッション界のパイオニアとして目が離せない存在となるでしょう。